彫漆技巧|松本達弥展
瀬戸美術は第一回大美アートフェアに参加いたします。
彫漆の人間国宝作家 音丸耕堂(1898-1997)に師事し、現在日本工芸会会員として活躍する松本達弥氏の作品展。彫漆は元来中国唐時代が起源とされ鎌倉時代には日本の禅僧により舶来された漆芸技法の一つです。中でも彫漆は塗りと研ぎを繰り返す非常に手間と時間をかける特別な技法であり、中国はもとより日本でも仏具など大変貴重な作品に施されてきた表現です。
本展では普段作家が伝統技法を用いて発表する現代的表現の作品としてではなく、彫漆本来の文様表現を「用の美」としてではなく「様の美」として表現してまいります。
犀皮に思う
「犀皮」とは中国宋時代に制作された屈輪(ぐり)文様の一つです。
色は黄・朱などの漆を交互に複数回塗り重ね、表面を黒、ないし茶褐色で塗ったものが多く、文様は抽象的な曲線文様を表しています。
日本には13-14世紀頃に「唐物漆器」としてもたらされ十数点が遺されていますが中国での伝世品殆ど無く大変貴重な遺品でもあります。
徳川美術館で唐物漆器の展示で初めて犀皮を見て、その洗練された曲線文様の配置、その繊細で確かな彫りの技術は今から千年ほど前の時代の技術とはとても思えないものでした。それから犀皮への追求が始まり、またこの技術を甦らせたいという思いできました。そして私の作品がまた幾千の後に誰かの目に、手に触れて生かされていくことを願い制作しています。 松本達弥
10月25日より東京 五島美術館にて「特別展 存星ー漆芸の彩りー」が開催され、期間中には松本氏の作品が参考出品されます。11月には講演会が予定されています
松本達弥
1961 香川県善通寺市生まれ
1985 香川県漆芸研究所研究員修了
1986 人間国宝 音丸耕堂氏、音丸淳氏に師事
1991 伝統工芸新作展 宮内庁買上
1992 伝統工芸新作展 宮内庁買上
1993 伝統工芸新作展 日本工芸会賞
1994 東京国立近代美術館 招待出品
1996 伝統工芸新作展 日本工芸会賞
2002 日本伝統漆芸展 朝日新聞社賞
2003 日本伝統工芸展 記念賞
2006 日本伝統漆芸展 日本工芸会賞
東京文化財研究所の派遣事業としてドイツ・ケルンに派遣(’06-’10)
2010 21世紀の伝統工芸展(MOA美術館)にて朝日新聞社賞
現在 日本工芸会正会員 漆芸文化財修復