紙と墨|福山一光展
2017年春に当スペースで開催し大変ご好評を得ました福山一光展を大阪美術倶楽部で開催されます大美アートフェア 2-20瀬戸美術のブースにて開催します。
Minimal work - 紙と墨、そして筆と技術。
まさしく限りなく削ぎ落とされた素材で創り上げられた世界は無限の広がりを見せる。
過度な装飾がもてはやされる昨今、選りすぐられた紙と墨、そしてただ表現のために鍛錬された技術をもとに福山の作品は創り上げられます。福山の作品において、空間の遊びや濃淡による表現の幅はまるで偶然を装うかのように自然ですが、実は全てが計算され設計されたものです。これは先に述べたように何度も試行を重ねて作り上げた技術に裏付けされたものであり、少々大袈裟な例えではありますがミケランジェロの彫刻のようなものなのです。
それでも一昔前では寂しい水墨画としか評価されないであろう福山の作品が今の時代に受け入れられるのは世間の美術鑑賞の眼が円熟期を迎えたという事に尽きるのではないでしょうか。昨今異常な程の長蛇の列ができる琳派や四条派などの絵師達の展覧会にバブル期にどれだけの人が並んだでしょうか?綺麗なものがもてはやされ、代わり映えのしない作品たちが美術画廊の壁に並んだあの頃より、モノ派や具体芸術などを含む現代美術まで呑み込んだ世間の美術鑑賞の眼はより貪欲に、そして確実に作品に何かを求めています。と、同時に答えのない作品はどんどんその魅力が色褪せていきました。そんな今だからこそ最小限の仕事で無限の世界を開く福山の水墨作品の魅力は観る人に何らかの答えを示しているのでしょう。