彫漆技巧|松本達弥展

Tatsuya MATSUMOTO
松本達弥 彫漆犀皮文様箱

大美アートフェアB.2-30「彫漆技巧|松本達弥展」
会期 2014年1024日(金) 25日(土) 26日(日)
会場 大阪美術倶楽部 http://www.daibi.jp

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彫漆芸作家 松本達弥による「彫漆技巧|松本達弥展」を開催いたします。
松本達弥は 1961 年香川県善通寺市生まれ 。香川県漆芸研究所研究員修了し、人間国宝 音丸耕堂氏、音丸淳氏に師事。1991 年に伝統工芸新作展に作品を発表し宮内庁買上となる。 以降主に伝統工芸展へ出品。2006 年に東京文化財研究所の派遣事業としてドイツ・ケルンに 派遣され修復を手がけるようになる。2010 年には 21 世紀の伝統工芸展(MOA 美術館)にて 朝日新聞社賞、2013 年第 62 回伊勢神宮式年遷宮にて御神宝制作「平文の毛彫」奉仕。

現在 日本工芸会正会員 漆芸文化財修復

ーー漆に刻まれる文様の美
彫漆とは漆を塗り重ねて厚く重ねた層に文様を彫り込む技法。起源は中国宋時代とされ元明時代にかけ多くの優品が制作されました。日本へはすでに鎌倉時代には伝わっています。

特筆すべきは宋時代の彫漆は発掘断片を除くほとんどの作品が日本に伝来し中国には残っていないということです。近代、欧米美術館に収蔵された宋時代の彫漆作品の多くは日本に伝来したものとみられています。

彫漆は明時代になるとさらに発展を遂げます。特に都を北京に遷都し故宮紫禁城を造営した永楽帝によって、堆朱などが外交贈答品として強く推奨されていきます。

ーー彫漆犀皮を紐解く
中国彫漆は技法において多くの表現がありますが未解明な点も多く、そのひとつに「犀皮」があります。

現在この呼称の指す技法は二種あり、ひとつは明・清時代の作もあり今日中国で制作されている変塗の一種です。緑や黄・赤など数種類の漆を凸凹状に塗り重ねてから平滑に研ぎ出して、年輪状に色の断面を見せる技法で、日本でも会津塗や若狭塗にみられます。

もうひとつは室町時代の書簡に「屈輪文様を浅くなだらかに彫り込み、赤と黄を交互に塗り重ね最表層を黒もしくは褐色にした彫漆を指す」との記述から、中国では作品の残っていない南宋時代の特定の作品(徳川美術館蔵の屈輪文犀皮食籠など)にあてはまることから宋時代の彫漆、屈輪文様のひとつとして近年になって日本を中心に使われています。

ーー後世に伝えしカタチ
松本は漆芸作家として活躍する傍ら、現在世界中で漆芸修復マスターとして活躍していますが、作品修復と自己作品表現において「犀皮」の出会いを大きな転機として考えています。それは前記、徳川美術館の屈輪文犀皮食籠との出会いです。それは漆芸作家松本にとっても今までの屈輪のイメージとは全く異なるものでした。洗練された曲線文様の配置や繊細で確かな彫りの技術にただただ圧倒されます。しかし同時に深い興味をもった松本は自分の彫漆制作に積極的に犀皮を取り入れていきます、そして作品修復を通して古の彫漆技法を紐解いていきます。中国宋時代、千年以上も昔の名も知らぬ人工の手によって制作されたものが今の世に受け継がれ私達を魅了する。そして松本自身がその手で刻みし作品もまたいつか後世の人の目にとまり何らか活かされることを願いつつ日々制作を続けています。